メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

2009 チェコボヘミア Day10

Day10 インドヂリフーフ・フラデツ - スラヴォニツェ
Jindřichův Hradec - Slavonice
        ~見晴らしのいい丘の上り下りが続くルートで古都スラヴォニツェヘ

トヂェボニュから北に進路を変えてJフラデツに向かったのでそのまま北に向かうのかと誰もが思うだろう。しかし今日は再び南に進路を戻しスラヴォニツェに向かう。なぜトヂェボニュからまっすぐスラヴォニツェに行かなかったのかという声もあろうが、わたしはJフラデツに寄り道したかったのだ。人生には寄り道が必要である。
 
 
朝ごはんに行ってみると、そこにはサイクルジャージに身を固めたおじさんおばさんたちが賑やかにもりもりと食べていた。昨日いた団体はグループサイクルツアーの客だったのだ。そういえば太ってる人が一人もいなかった。ロビーには荷物でパンパンのバッグやスーツケースが山積みになっている。
ちょっと話をしてみたが、ウィーンからプラハまでグリーンウェイを走るガイド付きツアーだという。参加者は欧米いろんな国からで、わたしが話した夫婦はアメリカの人だった。自転車もレンタルだという。
「昨日トヂェボニュから走って来たんです」
「おお、私らは今日そこまで走るんだ。」
「すごくいい街ですよ。つい2泊しました。」
「まあすてき、それはとても楽しみだからあまり詳しい話はしないでちょうだい(笑)」
あの手のグループツアーは次の町までサポートカーが荷物を運んでくれるので毎日の走行はほぼ手ぶらで気軽に楽しめる。スーツケースがあったのもそのためだ(なんなら楽器とかも持っていけるのかも)。もちろん宿も自分で探す必要はない。
ガイド付きツアーとは別にself-guided といってガイド無しのツアーもある。決められたルート自力で走るものだが毎日の宿が用意されており、荷物もサポートカーが運んでくれる。あんな風に知らない人とワイワイやるのはちょっとなあと思う向きはそちらの方がいいだろう。
お値段は訊かなかったけど、調べてみると実走6〜7日のツアーで一人1000ユーロぐらい。まあ安くはないから客層もある程度お金を持ってる中高年が主だというのも頷ける。年を取って面倒なことはお金で解決する楽ちんな、自由より安寧な旅の方がいいと思うようになったらわたしもそういうツアーを選ぶかもしれない。
(その後は大半の業者でe-bike をレンタルできるようになっているので歳をとっても楽しめるだろう)
 
さわやかな朝
 
 

 

右の建物はホテル。なかなかいい感じ。

お城にも寄る
 

 
 
街を撮影して回っていたらもう昼近くになってしまった。
街を出てお城に別れを告げつつ後にする。

お城遠景
 
今日のルートは小さなアップダウンが増えてきたが、大半は森と畑が交互に現れる気持ちのいい見晴らしルートだ。
ホテルで出会った団体がたどるグリーンウェイを、今日は彼らと逆向きに走る。


道端の聖母子像

今日は少しアップダウン多し
 
こちらは劇画調
 
 
森でお弁当タイム。 このあたりの道はオーストリア国境に並行している。シャレでちょっとオーストリアに入国してみたかったが、国境を越える道がなかなかないので果たせず。
 
丘を登ったり…
 

丘を下ったり…

ノヴァ・ビストリツェの町


 
絵になる風景が続く。さすが人気のサイクルルートだ。
この地域一帯は「チェコのカナダ Česká Kanada」と名付けられた国立公園で、手付かずの森林と自然が残されている。
カナダに行ったことはないのでどのあたりがどのくらいカナダなのかわからないが、わたしの走ったグリーンウェイのほかにも多くのトレイルがあり、自転車やハイキングのメッカとされているようだ。
 
カナダだけあってけっこう野生のシカに逢ったりする。
 
森はいよいよ深くなり道も登り基調になる。カナダな風景を登り詰めた先にそびえるのはランドシュタイン城址
13世紀の城砦が残る。外から見ただけで通り過ぎたけれど。ここの領主はフラデツ家とは敵対関係にあったという。城といってもこれまでの町にあったような優美なシャトーと異なり、人里離れて荒涼とした丘の上に立っている。遠くから攻めてくる奴がいたら見つけ次第矢や槍でブスブス刺してやると言う殺す気満々の軍事施設だ。
 
ランドシュタイン城址 


 
チェコではこのような見渡す限り人家もない野原のまっただ中の道を、買い物袋を手にしたおばはんなどが一人で歩いていたりするのに遭遇してびっくりすることがたびたびある。
それはクルマを運転しない人たちで、バス停からけっこう離れたおうちまで歩いているのだ。
 
この日は学校帰りの小学生の男の子が歩いてきた。
するとすれ違いざまに突然「コンニチハ!」と日本語で挨拶するではないか(フロントバッグに日の丸のワッペンを貼って走っているのでわかったのだろう)。
意表を突かれたわたしは振り向きざま「お、おう…こ、こんにちはこんににち…」とは返したものの、え、この子日本語勉強してるのかな、でも引き返して話しかけたところで本当にコンニチハしか知らなかったら向こうも気まずいしな、などといろんなことを考えながら通り過ぎてしまった。
やはりチェコの子どもも日本のアニメとかである程度日本語に親しんでいるのかもしれない。
あの子は今日家に帰ったらお母さんに「きょう、ヤポンスキーが自転車で走ってたよ」などと話してたかもしれないと考えるとなんかほっこりするものがあった。
 
そんなことを考えてる間に、遠くに見えていたスラヴォニツェの町がだんだん近づいてきて
 
スラヴォニツェ到着
 
Hotel Arkada 見ての通りの小さなホテル
 
一人部屋690Kr +朝食80Kr。
お湯がぬるくて勢いも弱かったが、レセプションのおねえちゃんの愛想の良さに免じてよしとする。
 
街歩きはまた明日

しかし次の日は雨なのは知る由もない...