Day11 スラヴォニツェ-ヴラノフ・ナド・ディイ
Slavonice - Vranov nad Dyjí
~雨の中、国境沿いの静かな道から森を抜けてお城のふもとの街へ
この日は朝から小雨模様だった。昨日のうちに街歩きを済ませておけばと後悔するが後の祭り。午前中は雨具を着て旧市街を見て回る。
雨のせいか観光客も10人ぐらいしかいなくて静かでよい。
ルネッサンスな家並みの装飾に瞠目したり、
壁に描かれたスグラフィットを眺めたり( 古いもので16世紀とか(クリックで拡大)。
いにしえのスラヴォニツェはプラハとウィーンの交易路の中間点として栄えたが、今はその二都を結ぶサイクリングルート(Praha- Wien Greenway)の中間点としてサイクリストが訪れる。
ここから国境沿いに東に向かうのだが、せっかくだからここから1kmの国境を越えてちょっとオーストリアに入ってみようと思った。
「国境はどこに消えたの?」とあるが、なんだこれは。アートオブジェ?。
検問所(奥に見える建物)はあるにはあるが誰もいなくてフリーパス。冷戦時代には東西対峙の最前線だった墺チェコ国境も、今は止める者もなく自転車で行き来できる。
国境越えてチェコ側を振り返る。看板「注意!国境」
国境を越えたからといってとくに風景に変わったことがあるわけでもないが、とりあえず記念に、オーストリア側の端っこの村Fratresまで行ってみる。これまたチェコ側と似たり寄ったりの村だった。
オーストリア側には国境に並行した道はなかったのでふたたびチェコ側に戻り、今日の旅程を開始する。
雨が本降りになってきた。
避難小屋のような立派なバス停に入って雨具を装着する。上下レインウェアに加えてポンチョにシューズカバーまでのフル装備だ。
バス停の外で濡れながらずっと座り込んでいたいぬ。バスで帰る飼い主を待っているのだろうか。
雨にけぶる静かな道を黙々とペダルを漕ぐ。
雨中の走行も防水さえしっかりしてれば瞑想的な心境になれて悪くない(でも降らないに越したことはない)
「逆に考えるんだ、雨模様でなければ撮れないような写真が今日は撮れる。そう考えるんだ。」と自分に言い聞かせて漕ぎ続けるのだった。
クルマもほとんど通らない道なので雨中走行のつらさもそれほどでもない。でも晴れていればさぞ絵になる風景だったろうにと惜しまれる。
フル雨天仕様で走るのも珍しいので記念撮影。ドイツ兵ぽい。
途中の村Uherciceにはお城が。
といっても公開しているわけでもなく、近くで見るとけっこう荒れている。(窓の多くはビニールが張ってある!)。お城の維持もお金がかかって大変なのだろう。
(付記:なんと、その後に完全修復され、2023年現在堂々の公開中である。ビニール窓からよく復活した。感動した!)
看板が出ているわけではないけれど、だいたいこの辺りがボヘミアとモラヴィアの2つの地方の境界である。
この先はモラヴィアの森の中、アップダウンが続く道を行く。
やがてディイ川に沿ったルートに。この川筋をたどれば今日の目的地ヴラノフに至る。山荘風の洒落た家が立ち並ぶ村Podhradi
森の中をぐいぐい登り峠を越える。
17時ぴったりに雨が止んだ。役場が降らせてたんだろうか。
峠からは丘の上の稜線を行く眺望ルートとなり、谷を挟んで向こう側の丘にヴラノフ城が見えてくる。今日の泊地ヴラノフはその谷間にある。川縁の町まで一気に下って到着。
2023年現在改名して営業中。maps.app.goo.gl
泊まった部屋はそんなでもないがレストランはうまかった。
今日からはビールもモラヴィアの銘柄だ。初対面のHostanは翌日の目的地ズナイモのブランド。
冷えた身体をあっためるグヤーシュ…
…からの「Lord of Altan」風と銘打ったポークカツ。チーズが好きだったんだろうかアルタン卿。