メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

Tern Vektronを買った件

近年の電動アシスト自転車(以下電アシと略す)の、「見た目の脱・電アシ化」はめざましい。
数年前までは電アシといえば「重装備武装ママチャリ」といった風情で、あくまで子連れのお母さんや年寄りのタウンユースが主であった。しかし最近では、荷物を積んで旅に出たくなるようなクロスバイク風のものや、さらにはまるっきりロードバイクの形をした新型機が目につき気になっていたのである。

 

電アシ自転車というものが、たとえばこれまで50㎞走っていたのと同じ体力でモーターの力を借りて80㎞や100㎞走れるということであれば、それは脚力や体力を拡張できることとなり、個人の本来の能力を超えたあらたな自転車旅の形が立ち上がってくるではないだろうかとわたしは考えた。

 

もとより当地は山に囲まれた町であり、とりわけ東西に聳える山地には、ある程度までなら楽しい坂登り、しかしそれを越えると苦行でしかなくなる険しい県道林道があまた存在する。

それらをラクに登れるようになれば、過剰な体力の消耗なくして秘境感や眺望を楽しむことが出来るようになり、ひいてはわが自転車生活の可能性が大いに拡充されることは想像に難くなかった。

 

そんな時にネットでとあるブログを見つけた。ヤマハのPASなる電アシ自転車で東北各地をツーリングしている御仁(以下ヤマハ兄貴と呼ぶ)の旅の記録「ヤマハPAS CITY-Xで気ままに電チャリライフ」である。
ヤマハPASは見た目もほぼママチャリと呼んでもおかしくないミニベロタイプであるが、ヤマハ兄貴はそのママチャリの前カゴにバックパックを突っ込んだ気軽な旅姿で、仙台の自宅を起点にブログタイトル通り気ままに東北各地を漫遊していた。その行程は西吾妻スカイバレー蔵王エコーライン、国道458号など、かつてわたしもクルマや自転車で通ったことがあってその険しさを知るところの山岳道路をもあまた含んでいた。そのような各県境の峠道や林道など、自転車ではけっこうしんどい道程も含めて一日100㎞超の行程(しかも平均時速20㎞/h超)をいとも易々と走破したうえで、温泉につかったりおいしいものを食べたりしているのである。
わたしはそのようなヤマハ兄貴の旅のありかたに大いに感銘を受け、電アシの力を借りた自転車生活のあらたな可能性についてますます前向きに検討したのであった。

 

如何せん街なかのマンション住まいのわたしは、そのような電アシを買ったところで20万や30万と高価なものを自転車置き場に置きっぱにする度胸もなし、かといって室内保管しその都度玄関を経てエレベーターで出したり入れたりするのも億劫である。
従来からわたしの自転車道楽のスタイルは、自家用車に折畳小径車を収納しておいてその都度組み立てて走り出したり、市街地をクルマごと抜けだして郊外で自転車を出して走り出したりというものであった。さすれば電アシも折畳んで車載可能なものがあれば同様に簡便な使い方ができるのではなかろうか。

ヤマハPASのようなディメンションでなおかつ折りたためる電アシはないものか、わたしはそう考えた。
そんな中で目についたのがTern Vektronである。

Amazon | tern(ターン) 2019年モデル Vektron S10(ヴェクトロン S10) 20インチ 10段変速 フォールディングバイク  | ターン(Turn) | 折りたたみ自転車

Tern ブランドについてはわたしはかねてよりP24hという折畳車を所有しており、その堅実な品質を熟知し信頼を寄せているところであった。
VektronはP24hと同じ20インチのタイヤと類似した折畳構造を有し、さらに長距離走行を可能にする大容量バッテリー、サスペンションはないがある程度の不整路を走破し得る大径タイヤ等、当地の田舎道を走るにあたっての条件が揃っているのであった。
加えて折畳みサイズもP24hよりひとまわり大きい程度で、わがメロウ号(ステーションワゴン型)の後部荷台に積載するにも適している。
重量は約20㎏とさすがにこれまでの自転車旅での自転車本体+フル積載に等しいぐらいの重さで、従来の折畳車の如く輪行袋に収納して気軽に鉄道や飛行機で持ち運ぶというわけにはいかなそうが、まあそれは致し方ない。

 

というわけで買ってしまった。
春は三月雪解けに、しかし世界は新型コロナウィルス感染症で次第に大騒ぎとなりつつある頃。北半球に春来たりなば公共交通の密を避ける手段としてこれまでにない勢いで自転車が売れだしたという話を耳にした。そこで当地はまだ寒いにもかかわらず本年分の在庫があるうちにエイッとばかりに気合一発購入してしまったのであった。

以下、「Tern Vektron で走ってみた」 につづく >>