メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

2018 ブロンプトンでゲルリッツとボレスワヴィエツをポタリングした話

2018 チェコ・ドイツ・ポーランド ブロンプトンふたり旅 CZ/DE/PL 

 Day7 ゲルリッツとボレスワヴィエツ Görlitz Bolesławiec

戦災を免れて古き良きドイツの面影を残すゲルリッツの市街と、陶器で名高いポーランドのボレスワヴィエツの日帰りポタリングの一日。
 
・ゲルリッツ街歩き
午前中はゲルリッツの街をポタリングして過ごす。
 
ふたつある広場のひとつ、オーバーマルクト広場
 
 
戦前のヨーロッパの面影を残す街並みは幾多の映画のロケにも使われた。
わたしも見た映画「グランド・ブダペスト・ホテル」ではこの廃業したデパート(1913築)が欧州の架空の小国のリゾートホテルとして登場する。
われわれが訪れたときは閉鎖されていたが、その後ふたたびデパートとして再開業を目指して本格的に修復改装中という(2020現在)。
 
もうひとつの広場、ウンターマルクト広場
 
ルネッサンスバロックも豊富に取り揃えております

このあたりに多い、眼っぽくてちょっとキモい屋根裏部屋の窓
 
どんと来い市庁舎
 
アールヌーヴォー / ユーゲントシュティル装飾のうにうにコレクション

ドアコレクション
 
 
 
・ボレスワヴィエツへ
 
陶器で名高いポーランド側のボレスワヴィエツ(ドイツ名ブンツラウ)はゲルリッツから国境を越えて約50㎞、鉄道で35分で着く。
 
行きはドイツ側のゲルリッツ駅から乗車する。
われわれが乗ったのはドレスデン始発でそのまま国境を越えてポーランドヴロツワフまで行く国際急行列車だ。

ボックス席でわたしたちの前に座ったのは5歳ぐらいの男の子とお母さん、その膝には2歳ぐらいの小さい弟くんがいる。ポーランド語でしゃべっているからお母さんがなにかドイツに用事があっておうちに帰るところであろう。
ふと弟くんがトイレに行きたくなったようで、お母さんに連れられてしばし姿を消した。監視の無くなったお兄ちゃんはおもむろに母のバッグをごそごそ物色しはじめたと思ったら、ドイツで買ってもらったと思しきちょっと高級そうなチョコの詰め合わせの箱を取り出したのだった。しばし彼はそれを矯めつ眇めつ眺めていたがやがておもむろに開梱し、チョコをひとつ口に入れるのだった。そんなことをして大丈夫かきみ。お母さんに黙って独断で食べたことが判明すれば彼はのちに叱責を受けるかも知れない。そんなわれわれの心配そうな視線に気づいてか、彼はきまり悪そうな表情になり、つぎにチョコをさらにひとつ取り出してわれわれに差し出すではないか。うまいから君たちにもやるよということか、いいやつだなお兄ちゃん。あるいは口止め料ということかもしれない。いずれにせよさすがにそれはお母さんに照会してからでないと君の立場もまずいだろうし、気持ちだけ受け取っておくよありがとう、と日本語で丁重に遠慮しておいたのである。
 
ふと気がつくと周囲の乗客がみんな本を読んでいる。新聞を読んでいるおじさん、小説を読み耽っている若い女性、おばはんはポーランド版「主婦の友」みたいな雑誌を読んでいる。スマホをいじっている人が一人もいない。電車の中ではみんなスマホしか見ていない国から来るとこれは新鮮な驚きであった。
 
この日は一日中曇りや小雨の日和だったが、われわれが町の広場に着いたときに短い晴れ間が。
 

 
広場のレストランで遅いひるめし。皿やらなにやらみんなポーランドぽい。
 
伝統陶器の店をじっくり見たいという家人と別行動とし、わたしは街をぶらぶらポタリングする。
ボレスワヴィエツの陶器というのは日本で買うとずいぶんお高いらしいので、産地直売に来た家人の鼻息は荒い。
元々歴史的にこの町は第二次大戦終結までドイツ領ブンツラウだった。であるからこの地の伝統陶器を育んできたのも代々のドイツ人職人であったのだ。
しかし戦後、その担い手であったドイツ人職人はすべて追放されて移住した(その伝統は移住先のドイツ各地で受け継がれていったという)。
実のところ現在のボレスワヴィエツ陶器は、戦後になってからポーランドの他の地域(ウクライナに近い東部が多いという)から移住してきて陶器作りを習得したポーランド人が引き継いだものなのだった。だからどこまで歴史的にオーセンティックなものかというとちょっと微妙なところもある。
 

 
ボレスワヴィエツの駅舎。陶製タイルが随所にあしらわれている。
 
 
行きはゲルリッツから直行の国際列車だったが帰りはポーランド国内路線に乗る。
ポーランド領内でいちど乗り換えて川向こうのズゴルジェレツで下車。こちらはただの小駅。
 
橋を渡ってふたたびドイツに戻る。
 

 
家人の戦利品。自転車で大きな皿とかは運べないのでもっぱら小物(以後の行程は二人で手分けして輸送した)
 
ばんめしは昨夜行ったポーランド側の店でふたたび。ゲルリッツの街に名残を惜しんで夕べの散策。

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