「冬に休みが取れた」
「また欧州を自転車で走りたい」
この二つの命題が並列して生起した場合、現地の気候とかさまざまな条件を鑑みたうえで、冬でも走れそうな国や地域を選定するのが理性的な人間というものである。
しかし当時のわたしはよく調べもせずに直感的に「ヨーロッパの冬ったってせいぜい日本の、東京とかのの冬と同じぐらいっしょ」と思い込み、「前回行ったアイルランドみたいな田舎だと寒そうだから人家の密度が高くて地形も平らなとこなら大丈夫でしょ」と考えてベネルクスを選んだ。バカである。
どうしてスペインやポルトガルじゃなかったのか、当時の自分を小一時間問い詰めたい。
現地入りすると同時によりによってちょうど大寒波が西欧を覆い、気温は氷点下10度台の日も。雪は積もり路面は凍り、自転車で走ったのは実質2日ぐらいだった。
ナミュール、ブリュージュ、オイペン、アントワープなどの街を輪行で彷徨い渡ったが、真冬の欧州のエレガンスを感じたことができた、ということにしておこう。
こういう旅はブロンプトンみたいな小径折畳み車で街から街に輪行して街なかをポタリングするスタイルの旅にすればよかったのだろうが、最初の小径車BD-1を買うのはまだ2年先である。
写真も散逸してあまりいいのがないし、ブリュージュ以外の街の写真が見つからないのだが、まあこんな旅もあったということで恥を忍んで。
使用機材:Giant CS3200
氷漬けのブリュージュ
ドイツ国境オイペンのB&Bにて。黒電話のような髪型だった当時