・ムーア川自転車道
当初は翌日一気にグラーツまで走るつもりだったが、あらためて調べてみると約60kmある。フツーの人なら余裕で一日で走る距離だし去年までのわたしだったらそうしていたが今回は徹底的にのんびりあせらない事にしてきたので念を入れてあえて2日間に分ける。しかしちょうど半分あたりによさげな宿が見当たらなかったのと、この宿にもう一泊したいとも思ったので途中から輪行で戻ってくることにした。
しかし果たせるかな宿は予約が満室で泊まれないということだった。仕方なくブルックからすこし戻ったカプフェンベルクという街に宿を取って出発。
アールヌーヴォー(ユーゲントシュティル)なおうちがこんな鄙にも。1905年築
小さな村ペルネック。お城と教会と。
この日は足早に通り過ぎたが、旅の最終日に絵のようなこの村に泊まることになる
谷の両側には岩山が迫り、登山道もあまた走っている
登ったり下りたりだがぜんぜんラク
ときには森の中
ときにこんな山間の小駅も通る
グラーツまでのほぼ中間点だし、このうつくしい街でまったり休んで今日の走りは終了とする。
フローンライテンは無人駅。各駅停車でブルックの先、カプフェンベルクの宿に向かう。
最寄駅はカプフェンベルクの一駅先、カプフェンベルクファッハホーホシューレ(高専)というこれまた無人駅なのだが、それらしい場所で停車したもののあまりに何もない駅のため「はてここはほんとに駅だろうか、降りていいんだろうか」と迷っているうちに発車してしまい、次のマライン・ザンクトローレンツェンという駅まで連れて行かれてしまった。仕方なしに一駅自走で戻る。宿のある街は丘の上にあり、予期せぬひと仕事。(あとで地図を見たら線路の北側を走れば宿はすぐだった)
街の中心から離れた閑静な住宅街にあるフツーの家が今日の宿、Art-Rooms-Gästezimmer。全4部屋のB&B。
オーナーのマダムが言うには、「この街のフットボールチームにヤツヅカっていう日本人選手がいるのよ。とってもフレンドリーな人で私も大ファンなの。」ということ。部屋で検索してみると墺2部リーグ・カプフェンベルクSVに在籍する八塚敏朗選手のことのよう。大学卒業後渡欧し、練習生から入って正選手として契約したという、実業団もJリーグも通らずに武者修行に来ているのだ。
2016年現在八塚選手は墺国内の他のチームに移籍してなお活躍中のようだが、オーストリアの鄙の小さな町を親日化した功績は大きい。さらなる活躍を願いたい。
この日予約していた客はわたし一人。チェックインしたあとオーナーは帰ってしまった。この家一軒と広い庭貸切りである。