メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

台湾東部のんびり旅 Day5

 花蓮-光復 Hualien - Guangfu 65km 


自転車ルート 1397467 - powered by Bikemap 

県道193号線 Route 193

花蓮でのんびりしてエンジンも暖まったので今日はちょっと走ろう。

約50kmと手ごろな距離にある光復まで行くことにする。ネットで調べてよさげな宿もあり、ホテルのフロントのお姉さんに電話で予約してもらう。


 花蓮−台東のメインルートの国道11号ではなく、川の対岸の山の中を走る193号線をたどって南下する計画。

花蓮市街からは、海岸につけられたサイクリングロードが、川を渡って山側に入る花蓮大橋(写真前方)まで続いている。


193号に入るとしばらくは上り坂。

地図で見ると曲がりくねっていてきつそうだが、等高線にそって山腹をトラバースする道なのでさほどのアップダウンはない。クルマはほとんど通らずとても気持ちのよい道。おまけにかなり強い追い風が吹いていてぐんぐん進む。


右手には広大な河原が広がる。雨季にはこの幅いっぱいに水が流れるのだろうか。


かと思えば山の中に入って秘境ムード。ここまではさほどのアップダウンもなく、うっそうとした山と、時おり視界が開けて川と川向こうの街、そしてそのまた向こうの山まで一望できるすばらしいルート。


川一本越えただけでずいぶん秘境ぽくなるものだ。ところどころに小さな集落がある以外は山また山。

途中の月眉という村でどこか食事できるところがあるだろうと思ったら、ない。その先はさらに山深く、店のありそうな集落はない雰囲気だったので、一旦対岸に渡って食べもの屋を探すことにした。


しかし対岸に出ても、国道11号に出ても店がない。それじゃ駅に行けばあるだろうとさらに進む。ところが時はもう14時近く。そのあたりの鄙びた町では店はあってもお昼時が過ぎるとほとんどの店が閉まっているのだった。なんか食わせてくれよ腹減ったよ。


豊田の駅まで来てようやく開いている自助餐を見つけて「おお肉よ米よ野菜よ!」と感激する。やれやれと遅い昼食。店のお姐さんは「アリガトー!」と笑顔で送り出してくれた。

このオプショナル昼食ツアーで12km、1時間のロス。


ふたたび川を渡って秘境ルートに。


橋からの眺め。向こうの山の中をまた走っていく。

193号線は花蓮から台東に至るまでサイクリングルートとして整備され、さまざまな施設が整っている。そのひとつが「Cycling station (台語は「自行車補給站」だったかな)」。何かというと、これは村の警察の派出所がサイクリストのために工具やトイレを貸してくれたり、緊急時のサポートをしてくれるというものなのだった。わたしは利用する機会はなかったが、人家もまばらなこのルートでは心強いシステムである(ついでにカップラーメンとか売ってくれればいいのに)。


米桟の先からアップダウンがきつくなってきた。(標高表の40kmから先ぐらい。カーソルをあててごらん)。

このあたりには「200m先、牛の如く喘ぐ」とか「この先、自ら漕ぐのがイヤになる」(たぶん)とか、おかしなネタ標識が立っていて、果たしてその通りなのだったが、なんなのよあれは。

そんな坂で牛になりつつも、強い追い風のおかげでさほど苦しくない。


原住民の人たちが住む村の外れには墓地もある。(大半がクリスチャンなのでキリスト教の墓)。墓石を見ると驚いたことに故人の名前(部族名)が日本語のカタカナで記されているものが多い。今でこそ原住民の名前はローマ字か中国語の当て字で書かれるようになったが、それまで文字を持たなかった原住民に文字を教え、彼らが初めて自分の名前を書けるようになったのは日本語のおかげだったのである。

村の入り口にはトーテムポール

光復の宿 Accommodation in Guanfu

17時、ふたたび川を渡って光復の街に着く。

予約していた宿「盛夏的軌跡」へ。

この宿はすごい。オーナーの鉄道好きが嵩じて敷地内にナローゲージの線路を敷いてディーゼル機関車が走れるようにしてしまっているのである。

オーナーのおっさんは片言の日本語を操り、晩めしは差し入れしてくれるは、夜は近所のおっさんたちを交えた酒盛りに混ぜてくれるは、手加減なしの台湾ホスピタリティが熱い。

この宿での熱い体験についてはまた稿を改めて記したいと思う。

この日ここで空いていたのが離れのログ風コテージだけで、ロフト付きの一軒まるごとひとり占めという贅沢。朝食付き1800元。


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