2004.1 タイ・ラオス
去年おととしとタイの真ん中へんと南のほう走ったから、次は北のほうだ!と明快な発想のもと、タイ・ラオス国境を成すメコン川沿いに走った旅。
川沿いの小さな町をつなぐ静かな道はとてもメロウで、思わず次の年も走ることになる。
バンコクに着いて一泊ののち、国内線でウドンタニまで飛び、さらバスで2時間のコンケーンで一泊、翌日さらにバスで3時間半のルーイまで移動してその翌日、タイ入国後4日目にしてようやく走り出すという謎の旅程だった。なんのことはない、あんまりよく調べも考えもしないで現地入りした故であった(現在バンコクールーイ間はエアアジアとノックエアの直行便があるし、長距離バスでも6時間である)。
そんなわけで旅日記はいきなりルーイから始まる。
ルーイ~チャンカーン Loei - Chiang Khan
さていよいよ今日から自転車の旅だ。朝はずいぶん涼しい。ルーイ県は山がちで、寒暖の差がタイで最も大きいそうな。ホテルはロビーが吹き抜けなのでフロントもオープンエアなのだが、朝見たらフロントのお姉さんがダウンジャケットを羽織っていた。ずいぶん寒がりだ。
今日はメコン川のほとりの街、チャンカーンまで行く。ルーイからはR201で一直線だが、途中まで並行する田舎道のルートで行くことにした。
朝のんびり過ごして11時出発。ペダルを踏んで目的地に向かう。自分の意志で前に進み、自分の人生を生きているという実感、大げさなようだが自転車の旅はそんな感慨がわいてくる。市街の外れの分岐点で立ち止まって地図を確認し、「よーし、んじゃ、行くかな」と独りごちてどーんと広がる緑色の、光溢れる風景の中に向かって漕ぎ出す、その瞬間のちょっとドキドキする昂揚感が好きだ。
日本でいえば県道クラスのその道は人家もまばらで、ところどころ舗装もラフになる。小さなアップダウンが続くが、アフリカのサバンナのような平原と山がそびえる風景はなかなか気分がよい。小さな村をいくつか抜けていくうちあたりはサトウキビ畑が多くなる。通るクルマといえばサトウキビを山積みにしたトラックだけだ。
2時過ぎにR201と合流する小さな街に着き、食堂で遅いランチ(パッタイ=ヤキソバ)を食べる。店先のテーブルから通りの人々を見るのも楽しい。自転車での「通り過ぎる者」から、定点観測者への視点の転換。
R201に入ってからの十数㌔はやや単調な景色。3時過ぎにチャンカーン着。。川に並行した通りが2本あるだけの、木造の家が立ち並ぶ小ぢんまりした静かな街だ。
メコン川にご対面だ。対岸はラオス領。川幅はさして広くなく、対岸の河原で遊んでいるラオスの村の子どもがはしゃぐ声が聞こえる。
川べりの野外レストランで川風に吹かれつつ夕食。やはり走った日はビールがうまい。星空もきれいでよい気分だ。
宿に帰って、川のほとりのベンチで飲みなおすが、30分もしないうちにあまりに涼しくて室内に退散。タイがこんなに涼しいなんて。
宿: Mekong culture & nature tours 400B
ガイドブック(ロンリープラネット)には街の中心の宿がいくつか載っているがどれもパッとしない感じだったので他は無いかと探したら街の西外れに見つけた川沿いの新しい宿。棟割のコテージでシャワートイレ共同。エアコンは無いが涼しい場所なのでファンで充分。街の東外れにもLPに出てない新しいホテルがあってそっちもよさげだった。 (2006年再訪したところ宿は廃業しており、オーナーと無関係な一般人の家になっていた)