メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

Day5   パクチョム~サンコム Pak Chom - Sangkhom

60km  総走行75km

夜になるとさやさやと涼しい風が吹き、高床式バンガローの床下のハンモックに揺られながらビールを飲んでいるとまことに気持ちよく、うとうとしてしまう。
お、こんなとこで寝ちゃいかんと中にはいる。ベッドはすっぽり大きな蚊帳で覆われており、虫も気にせず安眠できそうだ。遠くで何やら遠雷のような音が聞こえるが、気のせいだろう、おやすみ。

パラパラと藁葺き屋根を打つ雨音で目が覚めた。時計を見ると午前3時。雨音を子守唄に眠るなんて野趣があっていい、ロマンティックじゃないか、と再び目を閉じ、雨音に耳を傾ける。
パラパラパラパラパラ・・・・・
バサバサバサバサ・・・・
ずばばばばばばばば
ぶばど―――っっばばしゃしゃしゃばばずど――


うわー、すごいスコールだあっっ。おや、なんか顔に冷たいものが。まさか、まさかだよな、これ、屋根だよな、藁葺きだけど。うわあああ、なんか、漏ってるんですけど、滴り落ちてくるんですけど、雨。
うわあああああ・・・・
室内を這い回って雨の漏って来ない箇所を探し、なんとか全身を濡れないようにセッティングできる場所を見つけてようやく寝られた。しかし霧状になった雨はどこからともなく入ってくるし、何度も目が覚め苦しい一夜となった。

しかしこの旅ではあとにも先にも宿という宿は空きまくっていた(前夜など客はわたしひとり)。なぜこの日に限って満室で、しかもその夜に限って大雨が降るのか。わたしが何をしたっていうのだ。

そんな驟雨は冗談であったかのように快晴の朝に出発。ちょっと寝不足とは言え体調はよい。
フラットな道でまた左手にメコン川を見ながら走る。小さな村をいくつも過ぎていく鄙びた道だ。昨日と違って20㌔過ぎたあたりから身体が軽くなってきて快走。
サンコムの数㌔手前で有名な滝があるというので寄り道。山と田んぼの日本的な風景の中を脇道に入っていくと着いたが誰もいない。乾季だから水量も少ないし、オフシーズンなのだろう。滝も大変にしょぼいものであった。

1530.「サンコム」の表示が出ていた街はなにやら寂れており、パクチョムよりしょぼい。なんだか泊まるところもなさそうだ。
こうなりゃ40キロ先のシーチェンマイまで走っちゃうぞと思い(それほど体力が余っていた)先へ進み、1㌔もしないうち別の名前の街に入ったら、そこがサンコムの中心街だった。何なんだ。

この街はパクチョムよりはちょっと大きい程度のこれまた静かな街。一本裏通りに入るとそこには生活の匂い溢れる静かな時間と詩情が流れていた。
街外れの川沿いの宿にチェックイン。戸建てでエアコンもあり、昨夜とはえらい違いだ。2日ぶりにテレビも見る。やっぱ文明はいいなー。外に出ないでうんこできるし。
川に面した付属のオープンエアレストランでビールをあけ食事。川風は今日も涼しい。部屋のエアコンもつけずに快適な夜だった。昨夜の分も爆睡。

宿:Siam Bungalows 500B