メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

タイ・ラオス 2004 Day5

チャンカーン~パクチョム Chiang Khan - Pak Chom 


夜中になるともっと涼しくなった。ファンをつけるどころか窓を閉めて寝た。

涼しい朝、シャワーを浴びにいく。ここの共同シャワーは石垣のような壁で出来た囲い(屋根は無い)と、その上に覆い被さるように茂ったヤシの葉やツル植物で囲まれた野趣溢れる ものだが、早い話が野外シャワーである。で、出てくるお湯がぬるい。思わず「さみー」と口に出る。誰がタイで寒いと口にするとは誰が想像しえただろう。


メコンの川辺の朝、あたりは鳥の鳴く声に包まれまことに心地よい。今日はサンコムまで100㌔超の道のりなので気合入れて走り出す。

R211を、右手には畑と山、左手に常にメコン川を見ながら走る。200番台の国道とは思えない静けさだ。車も非常に少ない。


どうもメコン川というと、幅数キロの泥色の流れがひねもすのたりのたりと流れる光景を想像していたのだが、いかんせん今は乾季だ。チャンカーンから東に行くにつれだんだん水量が減ってきて、石がゴロゴロする河床だけが目に付くようになる。対岸のラオス領までずっとゴロゴロだ。水はところどころに申し訳程度に流れているが、対岸まで歩いて行けそうである。そんなことでいいのかメコン川


出発した直後は快調に飛ばしていたのだが、なんだかすぐに疲れてきた。昨日張り切りすぎたせいもあるが、毎年出発前にはヒマを見つけては走りこんで身体を慣らしていたのを、今年はそれをまるっきりしていなかったせいだろう。やっぱイカンなあ、と言いつつ気がつけば口をあけて呼吸しているし、顔を前に向けていられずうつむいてペダルを漕いでいる。これはわたしの体力切れサインだ。こうなってはもうダメである。


よってあっさりあきらめて、チャンカーンから40㌔ちょっとの小さな町、パクチョムで今日は泊まって休むことにする。ロンリープラネットに載っている、町で唯一のゲストハウスに向かう。(翌日町の東はずれにもう一軒バンガロー村が新設されているのを発見)


宿は川に面した静かな場所にあり、新築間もないと思しきキレイなコテージが数軒並んでいる。ラッキー、ゆっくり休める、と思いきや、何だ全部西洋人が泊まってて満室だ。

藁葺きに竹で編んだ壁のバンガローなら空いているというので、なにせ町で唯一の宿だし、そこにする。一泊たった100B。


昼飯を作ってもらってビールを飲み、さあ今日はどうやって過ごそうか。

バンガローの中はベッドがあるだけで暗いし、川辺に張り出した東屋風のデッキで風に吹かれてボーっと川を眺めていると、宿のおばちゃんの子どもたちがグフフフと笑いながら近寄ってきた。ヒマなので会話帳片手に遊んでやる。

10歳と9歳の小僧が2人にそのいとこの女の子10歳、そのまた妹のチビ1歳3ヶ月。木蔭のハンモックにはもうひとり赤ちゃんがいた。


川をのぞむ眺めは一幅の絵のようでたいへんに良い。となりのコテージのカップルの女性はテラスで水彩画の写生をしている.



ひとしきりヒルネののち街に出かける。

街の中心にある学校ではなにやらスポーツ大会が開催されている。

メインはサッカー大会だ。小学生のチームが懸命にボールを争っている。

イベントといえばタイ人は何かとでかいPAを持ち込んで音楽流すわ何かガナリ立てるわで盛り上げるのが好きだ。このサッカーの試合にもなぜか大音量の実況アナウンスがついている。「キャプテン翼」か「キン肉マン」かという感じだ。


小学生男子の試合が終わると今度は女子サッカー大会へ突入したが、出てきたのはママさんチームだったのでとっとと街の外へサイクリングに出かけた。しばらく走って戻ってみると今度は女子高生チームが対戦していたのでふたたび腰を下ろし、タイ人のサッカー熱についてじっくり考察した。


相変わらずのガナリ実況に加え、向こうではなにやらちびっこダンス大会でどっかんどっかん盛り上がり、反対側を見れば朝礼台にのぼったおかあさんたちが振り付きでカラオケに興じており、あたりは3ヶ所からのPAスピーカーのどっかんどっかんで果てしなくお祭り化していくパクチョムの昼下がりであった。