メロウなvéloで行こう

おもに小径折りたたみ自転車で東北各地、ときに日本各地や海外を走る話

2004.8 山形・朝日連峰の麓ツアー~西五百川林道・黒鴨林道

  朝日町と白鷹町に跨る深い山を貫くこのルートはしょっちゅう通行止めになっており、数年前に訪れたときも大崩落現場に行き当たってすごすごと撤退した。しかしネットでオフロードバイクの人が最近走破したとの情報を読み、MTBでリベンジを図ることとなった。がしかし、8月に東北地方にも襲来した台風の生々しい傷跡に行く手を阻まれ、思いもよらぬ難行苦行となった。



1145  0.0km 朝日町役場

 朝日町の中心集落、宮宿(みやしゅく)にある町役場にクルマを置き出発。最上川沿いの県道9号から支流の朝日川沿いの県道269号に入る。長閑な集落が続く中をゆっくり登っていく。



1200 5kmくらい 五百川(いもがわ)温泉(昼食)

 途中の、地元民しか来ないようなくすんだ温泉施設に食堂があった。食料は持ってはいたが、この先宮宿に戻るまで食堂のたぐいは無いのでついつい入ってラーメンを頼む。こんなところにと言ってはなんだが、場所のわりにはけっこう真面目に作ったおいしいラーメンでした。

「Asahi自然観」への分岐を過ぎるとやがて道は狭くなり、鬱蒼とした森の中を渓流に沿って蛇行する静かなルートとなる。




  17.8km 古寺方面分岐

 古寺(こでら)へ行く県道が右に分かれる。数年前にぶな峠を越えて古寺から神通峡を通り左沢まで走ったことのある道だ。渓谷沿いの道はここからダートとなる。路面はフラットでラクに走れる。周囲の森はいよいよ鬱蒼としてくる(写真左)。




 1420 22.5km 朝日ナチュラリストの家

 ロッジ風宿泊施設があり、朝日連峰登山のベースとして有名だ(写真左)。道路はここでいよいよ車両全面通行止となりバリケードで封鎖されている。でも前進あるのみ。

数年前に来たときはロッジからすぐのところで大崩落があって進めずに撤退したが、今回は何とか道は無事のようである。途中には大掛かりな道路工事現場があり、通行不能というのは本当だ。しかし日曜のため工事は休みで重機の脇をすり抜けて通過。平日、工事中であればここは通してもらえないだろう。ラッキーであった。





やがて進むにつれ、舗装面に土砂が目立つようになる。どうやら先日の大雨で道路の上を土石流が通過して行ったらしい。さらに進んでいくと土砂が岩石へと変わって行き、亀裂、路肩流出といった舗装の損傷も目立つようになる。もちろん乗車したままの通行はムリで、ただでさえ急な山道を自転車を押していくのはきつい。


 さらに進んでいくにつれ道路の損壊はすごくなり、もはや道路と呼べる代物ではない。至るところで自転車を担いで歩かなければならない。この惨状ではクルマが通行できるまでに復旧するのは数年無理なのではないか。もっとも損壊が激しい箇所では巨大な地割れ、流木に行く手を阻まれ、オフロードバイクでも無理。担いで通れる自転車だから突破できた。

 最難所を過ぎるとなんとか漕いで登れるようにはなるが、峠に至るまでには随所で大小の崩落や舗装損壊があり、押し担ぎを余儀なくされる。やがて眺望がよくなり、谷を挟んで朝日連峰に対峙する雄大な風景に疲れも癒されるようになる。




1530 31.3km 愛染峠 休憩

 地獄のような9kmを過ぎ、峠に到着。眺望にしばし酔いしれる。道は尾根伝いに続いており、ついそっちに行きそうになるが左に分かれるしょぼい道が黒鴨林道なので間違えないように注意が必要(←間違えた人)。さもないといつまでたっても麓に降りられない。

 車両通行止めは峠までで、白鷹町側からは道路は全通しているので意を強くし、このまま楽勝ダウンヒルだと思ったがさにあらず、下っていくとやがて舗装は終わってダートとなり、路面もかなりラフな箇所が多い。傾斜もきつく4WDか軽トラ以外では登ってこられないだろう。思っていたより距離は長く、果てしなく続くかに思える九十九折を下っていく。MTBの醍醐味を満喫できるワイルドなルートだ。





1715 52.5km 林道終点

 ようやく麓の集落にでてホッとする。趣き深い山村風景の中を抜け、最上川沿いに県道9号で宮宿に戻る。

 静かで車もほとんど通らないこの道を流していると突如向かいからヘルメットにグラサン、派手なレーサージャージに身を固めたロードレーサーが向かってくるではないか。しかもよく見ると西洋人のねーちゃんである。風のように駆け抜けていった後姿(とレーパンの尻)はあたかも山奥に現れた幻のようであった。長井あたりに住んでいる外人さんだろうか(狐とか天狗かもしれない)。



1820 朝日町役場 総走行72.4km





(注・西五百川林道は全面通行止が続いており、安全は保障できません。これを読んで通行しようと考える方は自己責任において行動してください。その結果については、メロウ野郎は責任を負いません)